法人・個人事業主(青色申告者)とも、法令に基づき、記帳を行うことが求められています。
法人の場合 | 株式会社は、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない(会社法第432条) |
個人事業主の場合 | 青色申告者は、帳簿書類を備え付けてこれに取引を記録し、かつ、当該帳簿書類を保存しなければならない(所得税法第148条) |
会計帳簿の作成方法としては、会計ソフトに限らず昔ながらの手書き集計やエクセル等の表計算ソフトを使う方法も考えられます。
十数年前に税理士事務所に勤務していた頃、会計帳簿を手書きで作成しておられるお客様に遭遇したことがあります。
また、私自身の話ですが、過去に1年間ほどエクセルを使って青色申告用の会計帳簿を作成したことがあります。
この年は、会計ソフトを使用している今現在と比べて約3倍の作業時間を要しました。
個人事業の方で、白色申告や青色申告(の10万円控除)に基づく確定申告書を作成する場合は簡易な記帳が認められており、この場合は無理して会計ソフトを使わなくても良いと思います。
一方、法人や個人事業の青色申告(の55万円控除や65万円控除)に基づく確定申告書を作成する場合は、開業後間もない方や時間に余裕のある方はともかく、日々お忙しい方は会計ソフトを使用することが現実的ではないかと思います。
大きく分けて、インストール型とクラウド型に分かれます。
■ インストール型
お手持ちのパソコンにインストールして使い、会計データはそのパソコンに保存されます
■ クラウド型
インターネット上で使用し、会計データはクラウド上に保存されます
インストール型 | クラウド型 | |
特 長 |
■ ネット環境になくとも使用可能 ■ 会計ソフトの経験者になじみやすい |
■ スマホやタブレットからも利用可能 ■ 税理士事務所と会計情報を共有できる |
活用例 | 事務所を構えている方向け |
自宅を事務所代わりにしている方向け |
お支払 | 購入する | 月額 or 年額の利用料を支払う |
日々使っている者の感想として、インストール型もクラウド型も、性能はそれほど変わらないように思います。
性能は差がないように感じますが、人によって多少の向き不向きはあるように思います。
堤税理士事務所では、お客様の環境(事務所の有無・ネットバンキングの利用状況など)に応じて、インストール型・クラウド型の会計ソフトを使い分けています。
値段は、一台数十万円する高価なものから、家電量販店で売っているリーズナブルなものまで幅広くあります。
小さな会社であれば、リーズナブルな会計ソフトでも全く問題ないと思います。
堤税理士事務所ではリーズナブルな会計ソフトを使用していますが、お客様から「物足りない」というお声を頂いたことは今のところありません。
当事務所で使用している会計ソフトは下記の通りです。
面倒な初期設定や操作方法の説明、使いこなせるようになるまでのサポートは無料で行っています。
インストール型 | クラウド型 | |
名 称 |
法人向け・・・会計王
個人事業主向け・・・みんなの青色申告 |
会計freee |
メーカー | ソリマチ ㈱ | freee ㈱ |
活用例 | 当事務所からの定期的な訪問時に、会計ソフトの入力内容のチェックを御社内で行っています | 当事務所との定期的な面談時に領収書等をお預かりし、会計ソフトの入力内容のチェックを当事務所内で行っています |
値 段 |
会計王・・・購入価格44,000円
みんなの青色申告・・・購入価格10,780円 (いずれも税込) |
法人・・・年間利用料39,336円~
個人事業主・・・年間利用料12,936円~ (いずれも税込) |
保守料 |
会計王・・・年38,500円
みんなの青色申告・・・年7,700円 (いずれも税込、保守の加入は任意です) |
なし(毎年上記の利用料が発生します) |
価格はいずれも令和7年3月時点のものです
近い将来、税理士との顧問契約を視野に入れているのであれば、お目当ての税理士事務所がどの会計ソフトを利用しているのかを下調べしておくとよいかもしれません。
(この点は、既にご契約中の税理士事務所から他の税理士事務所に将来的に変更したい場合も、同じことが言えます)
税理士事務所と会計ソフトとの関係性は下記の通りです。
■ 会計ソフトはお客様のご希望に合わせている税理士事務所
■ 利用する会計ソフトをいくつかに限定している税理士事務所
■ 利用する会計ソフトを一つに限定している税理士事務所
せっかく会計ソフトの操作に慣れても、税理士事務所の都合で他の会計ソフトを使わざるを得ないケースもあり、この点は注意が必要です。
会計ソフトの宣伝文句として『かんたん』『ラク』『効率的』『全自動』と謳っていますが、実際にはそんなに簡単でもラクでもありません。
職業柄、たくさんの方々の記帳を見てきましたが、会計ソフトを使った経理経験がある方でない限り、専門家抜きで日々の記帳をこなすのは困難(簿記検定の有資格者であっても、会計ソフトの利用経験がない場合は困難)というのが実感です。
実際に、当事務所へのご相談例として
「独力で会計ソフトを使って記帳を始めてみたけれども、難しいことが分かったので税理士を探しています」
というお声をいただいたこともあります。
平成26年の話ですが、消費税の複数税率制度(当時は税率5%と8%)の導入に前後して当事務所へご相談いただいた個人事業の方がいらっしゃいました。
その方は開業以来十数年間、自力で会計ソフトの入力と確定申告をしておられたのですが、先ほどの複数税率制度の導入に伴い、自力での会計入力をあきらめて税理士を探すに至ったとのことでした。
当時の複数税率制度の導入は税理士業界にとって相当のインパクトがありましたが、それ以降も
■ 軽減税率制度の導入(令和元年)
■ 電子帳簿保存法の改正(令和4年から令和6年にかけて)
■ インボイス制度の導入(令和5年)
と、会計ソフトへの入力に関係する改正が続いています。
専門家からみても最近の会計入力は非常に複雑になったと感じます。
具体的にどこが難しいのかを挙げます。
■ 開業の初っ端からつまづきやすいケース
(その1)開業時の居抜き店舗の改装工事の経理処理が分からない
工事業者の見積書や請求書から本体工事・設備工事(電気工事など)・物品(エアコンなど)などと細かく分けて、それぞれ「建物」「建物附属設備」「器具備品」と経理処理していきます
(その2)プライベートな車を、開業後に営業車とする場合の経理処理が分からない
個人事業の開業の場合ですが、開業日の時点の車の「未償却残額」というものを算出し、減価償却という方法で経費化していきます
(その3)プライベートな通帳を開業後に事業用通帳とする場合の経理処理が分からない
個人事業の開業の場合ですが、開業日の時点の通帳残高を事業主が事業のために拠出したものとして経理処理を行います
■ 日常の経理処理でつまづきやすいケース
(その1)クレジットカードで消耗品を買った時の経理処理が分からない
会計ソフトの初期設定の段階で「○○カード」という勘定科目をつくり、その勘定科目でカード利用した内容を入力していきます
(その2)借入金の返済がなぜ経費で落とせないのか、理由が分からない
利息部分は経費で落とせますが、元金返済部分は経費とはなりません
通帳に返済元金と利息を分けて記帳してくれる銀行と、返済元金と利息の合計額を記帳する銀行があります
後者の場合は、借入金の返済予定表を見ながら元金と利息を分けて会計入力する必要があります
■近年の税制改正に伴い経理処理が複雑になっているケース
(その1)食材(税率8%)とレジ袋(税率10%)が混在しているレシートの経理処理
消費税が課税される方に特有のケースです
教科書通りに説明すると、一枚のレシートであっても税率が違うごとに2つに分けて会計入力をしましょう、ということになります
(その2)インボイス非対応のお店で物品を購入した場合の経理処理
インボイス登録をされている方に特有のケースです
最近の会計ソフトにはインボイス非対応のお店で買った場合専用の入力欄があり、その欄に忘れずに入力する必要があります
ご自身で会計入力を行う意向がそもそも無い方もいらっしゃいます。
■ パソコンが苦手
■ 時間が無いので本業に専念したい
■ 入力を誰かに丸投げしてその分稼いだ方がマシ
堤税理士事務所では、会計情報はお客様自身が持っていた方が良いと考えていますので、基本的にはお客様自身で会計入力されることをお勧めしています。
が、このようなお客様向けに、当事務所の方で領収書や通帳コピーをお預かりして会計入力を行っているケースもあります(業界用語で「記帳代行」といいます)。
開業したばかりで本業に専念したい方については、税理士事務所へ会計入力をお任せするのも良いと思います。
ただし、記帳代行に対しては、記帳代行料が別途発生します(その代わり、会計ソフトの代金は発生しません)。
そこで、記帳代行料金を極力抑えていただくために、お客様の方で領収書の内容をエクセルシートに入力していただくケースもあります。
この場合、会計ソフトへの入力は、当事務所の方で行います。
堤税理士事務所では、佐賀の皆さまに本業に集中して頂きたいとの想いから、面倒な経理作業を軽減し、あんまりお金をかけないような工夫をしています。